式能
現代の式能は今年で63回目を迎え、昨日国立能楽堂で開催されました。昔(江戸初期)お能が正式に武家式楽と決められ、幕府の庇護のもと四座5流(当時は四流+喜多流)は安定期を迎えていました。当時正式なお能の公演は「翁を加え5番」合計6番を1日で行う公演を式能と言っていました。1日がかりのお能の会です。
その式能を今では1年に1度「翁附五番立」として国立能楽堂で行っています。以前から出かけたかったのですが、漸く昨日実現しました。実際には9時15分開場、夜7時15分まで途中休みが入りますが、9時間に亘り能・狂言が行われました。わずか一番のお能を見るだけで疲れる時があり、私には無理だと思いましたが、よほど見たい気持ちが強かったと見え、あっという間に終わりを迎えました。外はすっかり暗くなっていました。実際にはお能とお能の間は狂言がありますから能・狂言九番を見ることが出来ます。
始めは翁です。今回は金春流のご宗家がその役を担っていました。更にお能の順番も決まっていて、翁の後は「神・男。女・狂・鬼」をテーマにしたお能が続きます。毎回同じ流れで進めていきます。
今回何故、あっという間に終わったのかですが、楽しみにしていたこともありますが、恐らく主催者側が年に一度のこの会を楽しくするために番組作りや各流派の誰を立てるのか、また間の狂言にも工夫を凝らし、より面白いものにし、役者も一流を揃えています。今回は善竹十郎・大二郎親子の芸が圧巻でした。
私には無理かと思われた式能が、素晴らしい会になりました。