オッペンハイマー
今週はNHKのニュースをはじめ、何度もテレビなどでオッペンハイマーの名前が出て来ました。ご承知の通りオッペンハイマーは原爆開発の指揮を執った人ですが、その開発者の名前を冠したお能が上演されました。
今回海外にある能楽の研究者や、海外でお能を演じている皆さんによって、6日東京にある喜多能楽堂で新作能「オッペンハイマー」が上演されることになり、広島・長崎で原爆投下から80年後の式典が執り行われた8月6日と8月9日の両日、お能の会が開催されました。
私はニュースを見るまでこの事実を知らず、もっと両目を開けて情報を事前に知らないといけないと心から反省をいたしました。ぜひNHKテレビで流して欲しいものです。
原作はオーストラリア人のお能の研究者の様です。シテ方、ワキ方共に海外の方が演じました。流石に笛、鼓などは日本の先生方が担当されていました。ニュースで拝見する限りですが本格的です。一瞬海外の方が演じていることを忘れてしまいますが、皆さんの発する言葉は全て英語です。私には理解できませんが、通常お能でも理解が出来ませんので英語でもいいかも知れません。
原爆を開発したオッペンハイマーが広島、長崎へ投下され、多くの人が亡くなり町は生き地獄の様相を呈したこの事実を知りその後開発した事への後悔と尽きぬ悩みを持ち続けます。
私は6日、9日で演じられた意味は重要だと思います。更に海外の方たちによる上演は尚更意味があります。私たちはこの日を忘れることは出来ませんが、原作も海外の人、上演者も海外の人で演じられたお能の意味を考えなくてはいけないと感じています。
お能は大戦その物をテーマとするにはあまりにも大きすぎますが、オッペンハイマー自身の悩みがテーマであればお能としても適したものだと思います。その結果、原爆、戦争、命など観能する側は自然に考える事になります。
新作能は再演が少なくなりますが、この作品は毎年8月6日、8日には上演の機会を持つことが可能です。更に日本の能役者の先生方に上演して欲しいと考えています。一度はぜひ見たいと考えています。