「白鳥入蘆花」
「白鳥入蘆花」この五文字の主は佐賀県出身の小説家であり、社会教育家の下村湖人の言葉です。
この五文字は確かに湖人の創作でありました。本当は「白馬入蘆花」が昔から言われているものです。これは禅語の中の一つです。湖人の生まれ場所は佐賀県神埼市にあります。ここは福岡県久留米市の隣町になります。この付近には一級河川の筑後川があり、さらに筑後川に流れ込む支流がいくつかあり水に恵まれた地域です。それらの川は両岸が蘆で覆われていました。ある場所では川岸がむき出しになり葦の根が幾重にも重なり中には土になりかけて古い時代から蘆の覆われていたことを示す証拠にもなっています。そのような場所で湖人は育ちました。大小の川の両岸で蘆花が咲き乱れることを子供のころから知っていたのでしょう。蘆の咲き乱れる中に馬が入るより、空から白鳥が舞い降りる様は馬より余程自然でした。
蘆花の中に入ると白鳥は区別がつきません。しかし明らかに白鳥は蘆花の中に存在しています。湖人の代表作である次郎物語の中でこの白鳥が使われました。朝倉先生の教え子何人かが集まり会を作っていました。その会の名が白鳥会でありました。朝倉先生を中心に人格形成を行っていました。次郎は白鳥会の意味を知りません。しかしある時、黒鳥入蘆花を知り、白鳥会の意味を悟ります。白の中の黒ではなく白の中の白鳥の様な生き方こそが重要であることを知りました。決して目立たず、信念を曲げずに生きることの重要性を知りました。
今回自民党の総裁選挙はどうしても目立ってしまいますから「黒鳥入蘆花」のようになってしまいます。遠くからでも確認はできる人ばかりですが、選ばれた方は正しい政治を行ってほしいです。