一体どんな花
お能に有名な羽衣があります。
作者不明の曲です。その昔は世阿弥作と言われたようですが、現在は不明となっています。
花に関係する私にとって少しばかり気になるところがあります。天女が羽衣をかけた松のあたりの描写です。
「虚空に花降り、音楽聞こえ」「霊香(れいきょう)四方に薫ず」天から花は降ってきます。併せて同じく天から音楽も聞こえてきます。更にあたり一面、いい香りで一杯になってきました。そこに立つ漁夫白竜の気持ちはどんなだったでしょうか。天女の羽衣があるだけでまるで別世界にいるようです。
この花は一体何でしょうか。当時の事ですから花といえば梅ということになりますが、きっとそればかりではないでしょう。様々な花弁がきっと降ってきたのでしょう。梅もいい香りですし、他の花も香り立つものだったのかもしれません。
その後、漁夫白竜はいったん手にした羽衣を約束通り天女に返します。天女はそれを身に付け、約束通りの舞を舞ってくれました。
その時、今度は天から花でもなく、音楽でもなく金銀財宝が降ってきます。天女は羽衣が戻ったお礼に舞を舞うだけでなく、国の宝を置き土産としてくれました。
約束を守るということはいいことです。