確信 モノマテリアルの時代
月に一度プラスチックの勉強会を開催しています。参加者は部課長を中心に12名ほどです。本社では講師の先生を囲み、工場や各営業所の皆さんはZoom参加となっています。講師は小國先生(日本食品包装協会専務理事)にお願いしています。
今プラスチックの勉強会は時代逆行と思われがちですが、むしろ今こそ勉強をする必要があると考えています。今までプラスチックは使い捨ての風潮がありました。結果、海の汚染、処理できない大量のごみといった問題から、脱プラスチックの時代に入り始めています。しかし、石油産業の中にある包装業界の中では、プラスチックを使用したものがその主流を占めていることがすぐ理解できるほど、スーパーマーケットの食品売り場に行くと様々な食品がプラスチックの容器で包装されているのを見ることができます。プラスチックの容器がなければ、こうした食べ物を安全に食することはできません。そこには様々な工夫や技術が存在しています。
様々な食品の袋は、1枚のフィルムのように見えてはいますが、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどのフィルムを糊で貼り合わせています。つまり、それぞれ特徴あるフィルムを貼り合わせ、中の食品を殺菌する際、熱に耐えるもの、油脂の多いものにはそれに耐えるフィルムといったように中の食品の成分に合わせ、更に日持ちや輸送などのファクターを加え、包装設計をしているのです。ここで言えるのは、出来ないことはありませんが、何層にも貼り合わせたラミネートフィルムの後処理は非常に難しいということです。種類の異なるフィルムの回収、再生は難しいのです。
そこで出てきているのがモノマテリアル(単一材料)による包装です。食品を日持ちさせるには、酸素を如何に遮断し酸化を防ぐかにあります。それ故、ナイロン、PETを使用し、更にPVDCコーティング、アルミ、アルミ蒸着といった素材を使い酸素の透過を防いできました。勿論アルミは完全に遮断しますが、他の材料の中にもそれに近いものが多く存在し、これらを用いてコーティングや蒸着といった技術で酸化防止フィルムを作り上げてきました。しかしそれらはどうしても何種ものフィルムを使います。しかしモノマテリアルの考えで行くと、単一の素材だけで十分な酸素透過の基準を満たすことが出来れば、貼り合わせの必要はなくなります。具体的には汎用フィルムであるPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)にガス透過性が圧倒的に少ないシリカ蒸着を施すことで、PE単体、PP単体で十分に日持可能な包装資材が出来上がる事になります。
そうなれば後処理は非常に簡単になります。ペット容器と同じようにPEとPPだけになり回収再生の道が開かれることになります。これからの包装業界の発展には「モノマテリアル」の考えが重要になって来るでしょう。歴史的に見てもモノマテリアルは間違いなく画期的な技術となります。